春日部１☆

　葵。ツーアウトにするのを忘れてショックなり。ＪＰＧ．

アフターでは春日部ＶＳ武蔵野が続いております。榛名も葵もエースとしてやはり三橋よりは貫禄あると思いますです。はい。

私信としてですね。セクハ○発言は私なりのジョークと愛であると思っていただければと。
こう明るく持っていこうとね、頑張ろうとして滑ってるオヤジと同じってことで。笑って許すように。

あーでも、中身やらしさで出来てるから、ごめんね。

春日部に癒されたのでＳＳを。

続きからどぞ。ＣＰは柴涼と、航葵で。

拍手ありがとうございます。

 

「でっかいな」
「……はぁ？」

練習試合が終わっての帰り道。隣りと行っていいくらい近い学校との試合だったため、現地集合解散となった。
一緒に帰ることになった葵は航と。涼は柴と隣り合って歩いていた。
葵達の前を涼と柴がスコアブックを見ながら、今日の試合結果と試合運びを話し合っているのが聞こえる。
「やっぱここはもっと攻めるべきだったのでは？」
「いやぁ、それじゃ単調過ぎて相手に猶予を与えちまう」
そんな会話をしながらも、二人の距離はすごく、近い。
お互い隣り合う肩をぶつけ合う……、というよりは、もうすでにくっつけている。
それが当たり前のように、葵の眼にも映って見えている。

「……柴先輩の背中、でかいっすか？」
思わずそう葵が漏らすと。
「……ちが～～～～う」
航が片眉を少し上げて否定した。
「……涼は捕手だけど、まだまだ柴先輩ほどでかくないっすもん」
「まぁそりゃ、しょうがないだろ。おまえらの造りが、俺や柴みたく元々でかくなりやすいわけはないし」
「それってなんか、オレら双子が華奢みたいじゃないっすか」

どっちかといえば、そうだろ？

じっと葵を見下ろしながら、航は心の中でそう呟いた。
口に出そうものなら、葵が憤慨とばかりに騒ぎ出すのは解りきっていたし、せっかく涼と二人仲良く話してるのを邪魔されたら、柴がまた小学校の時あんな事あったとか言いだすだろうし。

「でも今日の試合」
「はい？」
素直に話を変える事にした航。

「後ろからおまえ見ててだよ」
「えっ？」
突然の言葉に、立ち止まる葵。
なんだよ？　そう呟きながらやはり立ち止まり振り返る航。

「アンダースロー投げてるおめぇが、すっごく。大きく見えていたんだよ」
「……航先輩？」
「……マウンドに立って。一瞬息止めるように真っ直ぐ立つだろ」
「はぁ、まぁ」
「そん時。すっげーおまえ、おっきく見えるんだよ」
「……」
「その先のバッターボックスの奴なんて目じゃねー位。おまえだけが一等、このダイヤモンドの真ん中で、でっかく輝いて見えたんだ」
「……航、せんぱ……」

真っ赤になって照れて俯く後輩が、可愛い。

航は静かに寄って行くと、がしりとその所々はねのある髪を撫でた。
「でっけーのは、エースの威厳だ」
「……オレには、まだないっすよ」
「ばぁか。自信持てよ」
がしがし。遠慮なく柔らかいくせっ毛をかき回す。

「俺の目の前にいる奴が、エースなんだからな」
だから後ろを護るを譲れない。
セカンドを間に挟むけれど、それは別にして。
一番真後ろから、おまえの全てを。一挙一動を俺は、見詰めている。
「航先輩」
そっと頭に置いた手に重ねられたエースの右手を。
優しく握り締めて、その指先にキスを、送る。

そんな熱々な二人に気がついて、声を上げる柴。
「おーい、早く来いよ。飯食って帰ろうぜ」
「柴先輩、わざと意地悪してるでしょ？」
「なんだよ～。じゃあ、俺らも負けずにイチャつくか？」
柴が涼の顎に指を当てる。
「さすがにここでキスは出来ないでしょ？」
涼がクスリと微笑んで呷った。
「……時たまおまえの意地悪に俺、泣きそうになる」
「ふふ、投球指示にはこれ位でないと、相手に撃たれちゃいますから」

でもそんな涼が大好きなんだよなぁ。

耳元に寄せた口からの言葉に、涼が少し赤らむ。
「もう！　柴先輩だって、十分意地悪だ！！」
意地悪同士だから、気が合うんだろ？

そう言って、柴が軽く涼の頬にキスを落とす頃。
やっと葵が航に右手を軽く握られながら傍に寄ってきていた。

４人でこうやって過ごすのも後わずか。
でもきっと。
こんな日々がずっと続けば良いと皆が思っている。
そんなある日の出来事……。

２００８．１１．２５
　　しゅりんか