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あくまで自分のためなんで。
真柴迅は23歳。
ごく普通に大学まで行って、今は大学院に通っている。
たまたま遭遇した出来事で、その身体に入ってしまったもののせいで、今ではちょっと変わった人生を歩み始めています。
「別に。普通で良かったのに」
「なんか、言った?」
「なぁんにも、言ってません」
ため息をつきながら出来上がったハムエッグを皿に盛る。
「ほら、出来たよ。さっさ食べて学校行きなよ」
ダイニングテーブルに置くと、「サンキュ」と言いながら彼は嬉しそうに食べ始める。
「いららきます! ……やっぱ迅が作るご飯が一番うまい」
「……お世辞言ってもなんもでないよ」
迅もエプロンを外して椅子に座ると、カフェラテを飲む。
「勝手にもらうから、いい」
「!?」
ギロッと迅が相手を睨むも、そんなもの露ともせず朝食を食べ続けている。
一通り食べると「ごちそうさま」と言いながら皿をシンクに片付ける。その辺はちゃんとしているんだよな。
迅は鞄を引っ掴んで出て行こうとする彼をじっと観察した。
「っと!」
一番大事な事忘れる所だったと戻ってくる。
「いってらっしゃ……」
迅の言葉は簡単に飲み込まれる。
強く唇を押し当てられ、避けようと顔を背けようとするのを。
彼の手がしっかりと押さえ込んで身動き取れない。
朝っぱらからこういうの、慣れない。
だいいち、舌を差し入れられるのに抵抗を感じる。
そんな迅の気持ちを無視して彼は舌を伸ばす。しばらくそうやって。
「……カフェラテ甘。もっとも」
迅から離れて前髪を掻き揚げる。
「迅のがもっと甘いけど」
と、舌を軽く出して見せる。
「!! っざけるな!!」
迅が真っ赤になって側にあった雑誌を投げつける。簡単にそれを避けて彼が言った。
「まったく! イヴは反抗期だなぁ。そんな所も大好きだけど」
「……さっさと学校行けよ! 慎吾くん!!」
あははっと軽く笑うと。
同居人の島崎慎吾17歳は鞄を取って軽い足取りでダイニングを出て行く。
ひょいっとドアから顔を出して「いってきます」と言いながら投げキッス。
「いってらっしゃい!」
睨みつけると苦笑しながら出て行った。
迅は立ち上がると、投げた雑誌を拾い上げた。
まさか。
1ヶ月前のあの出来事で。
自分と慎吾の身に起きた事が夢だったらと何度思った事だろう。
落ちてくる光。
何が起きたのか解らなかった。
解ける意識。
光る人影。
重なる、想い。
飛び散る光達。
差し出される手、手、手。
だが。
一番力強い手が、自分の手を握り締める。
「おまえは俺のモノだ。俺だけの、イヴ」
聴いた事ない言葉。
だけど、意味だけは解った。
一緒になった人が教えてくれる。
この人が、愛すべき人、だと。
その手を握り締める男の影が。
慎吾と変わって。
「!!?? うが~~~~~」
迅は拒絶反応を示した。
男に愛を誓われても、困るんです~~。
でも。
俺の中のイヴと訳された人は。
人?
それも御幣がありそうだけど。
まぁ、エイリアンらしいけど。
唯一女的役割を持つ人で。慎吾くんに取り付いたのは伴侶である男らしく。
他にも候補であり、イヴを護る役を担う奴らも飛び散ったと言う。
事故なのか? そうであり、そうでない。
曖昧な意識の返事しか、今の所イヴからは、ない。
「……、オレも学校行こう」
悩み事増えた分、日常生活の偉大さに気がついた今日この頃な迅であった。
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