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島迅2009元旦 歳の差島迅。JPG.


一緒に初詣って年明け最初の行事になって数年になる。
もっとも僕が小学校に上がってからの話だけれども。
最初は家族全員での近所の神社への参拝も、今ではそれぞれ別々にって感じになってしまった。兄ちゃん達は友達とが多かったし、親は陽が昇ってからのんびりと出かけるようになった。
そんな中、僕と慎吾さんだけは今のところ、一緒に0時前に出かけるのを続けている。

「やっぱ年末になると寒いな」
慎吾さんがぼそりと呟くその言葉さえも、白い吐息になってシンとして冷え込んだ空気の中に溶け込んでいく。
「そうですね」
そう答えなる僕の言葉も、負けない位白さに染まって消えていった。
それでも。
きっと平日とかなら静まり返っている町並みも、年明けを起きたまま迎える人が多いのだろう。ざわめきはないけれど、どことなく眠らない雰囲気が満ちていて。
普段健康的に今時分寝てしまっている僕にはしごく新鮮で、楽しみにワクワクしてきてしまっていた。
まして。
隣りには慎吾さんが、いる。
一緒に歩けるだけで、僕には幸せだなんて。
慎吾さんは想像もつかないんじゃないかと思うよ。

思ったより神社には人が集まっていた。
慎吾さんが携帯のメールを確認している。
「和己は準太と利央にとッ捕まって、すでに近くのファミレスに避難してるってさ」
「じゃあ僕達も早く行動しないとね」
「うん」
冷たい水で手を清める。きっともっと大きくて有名な神社とかでは、こんなこと出来る余裕もないんだろうなぁ。
並ぶといっても10人もいない。すでに参拝を終えた人は絵馬に願いを書いていたり、神社の人が振舞う甘酒を手に、古くなったお守りとかを護摩炊きしている火の側で暖をとっていたりした。
「ほら、行こうか」
「あっと、すみません」
それでも、すれ違う人にぶつかりそうになっていた僕の肩に、当たり前のように腕を回して、導いてくれる慎吾さんのちょっとした優しさが、すごく嬉しい。
賽銭を投げて。
受験合格を祝うのはもちろんだけど。
……もう一つだけ、祈ってもいいですか? 神様。

僕はそのために努力を惜しまないつもりです。
だからどうか……。

視線を感じて脇を見れば。
ふっと微笑んでる慎吾さん。
「受験は大丈夫だよ。俺も祈ってやった」
そう言って、ポンポンと軽く頭に手を乗っけてきた。
その手を掴みながら、そっともう一度神殿の奥を見詰める。

神様、お願いしますね。
僕の本当の願いを……。

合格するだろうけど、これ。
そう言って慎吾さんがお守りを買ってくれた。
僕も今年の夏に、慎吾さんが甲子園に行けるようお守りを買ってあげた。
「二つもあれば心強いな。って、神様同士で喧嘩にならないのかな?」
そう真面目な顔をした慎吾さんに噴出した僕に、「真面目に心配したのに」と慎吾さんが後ろから僕を羽交い絞めにして笑っていた。
「くしゅん。……すまない」
慎吾さんが派手なくしゃみをした。
「やっぱマフラーもつけてくれば良かったな」
神社の境内を抜けて利央達の待っているファミレスに向かいながら、ズッと鼻水を吸い上げた慎吾さんの鼻の頭は真っ赤だ。もともと色白い分赤さが目立つ。

「あの」
「ん?」
「一緒に、巻きます、か?」

思わず。
自分のしていたマフラーを首からほどいた。
実はこのマフラー出かけに姉ちゃんが「やる」とよこしたのだ。少し落ち着いた赤いそれは、姉ちゃんが試しに編んだという手編みマフラーでもあった。長さがすごくて「僕じゃあまりすぎるよ?」って苦情も、「大丈夫。一人では長いだろうけど」とニヤリと笑ったのには、血縁であれ一歩引いた。

まさか、こうなると予想してとは、思わないでおこう……。
「いいの?」
「! あっと、慎吾さんがいやじゃ、なければ」
周りの視線を考えればありえないその行為だとも思った。

「でも、迅の鼻もホッペも真っ赤だよ? 寒いんだろ?」
「慎吾さんも、です」

しばらく向かい合って見詰め合っていたけど。
慎吾さんが「じゃあ、お言葉に甘えて」そう言って。
くるっと首に一巻きすると、反対の方を僕の首に一巻きしてくれた。
いくら長いと言っても限度がある以上、僕と慎吾さんはくっついて歩くしかなかった。
慎吾さんが「あったけー。ありがとうな」って微笑むから、「うん」と俯いて返事する。
自然に慎吾さんの腕が僕の肩を抱き寄せる。そうなると僕は慎吾さんの脇にぴったりと寄り添った。

……あったかいなぁ。

「……迅」
「なんですか?」
「……本当顔、真っ赤だけど。大丈夫?」
「!?」

覗き込むようにして人の顔見ないでください!?

これは!
寒いからじゃなくって。
慎吾さんと一緒だからこそ感じる熱のせいでなんですから!?


そんな言葉は到底言えそうもなかったから。
  
「平気です」
って答えると。

「こうすれば寒くないよね」
って。
慎吾さんは頭に手をのせて、余計僕を自分の方に抱き寄せるから!?

 

ファミレスについて。
「じーん。風邪でも引いてるの? 顔真っ赤だよ?」
「ばぁか! 寒いところ来たからだろ?」
「二人とも、早くこっちに座ってあったまれ」
先に待っていた三人にそれぞれ言われて。
マフラーはすでに外していたけれど。
二人で顔を見合わせて。
ふっと噴出したのは、僕達だけの秘め事。


2009.01.01
   しゅりんか


あとがき
歳の差幼馴染島迅でした。

今年もよろしくお願い申し上げます!

携帯サイト15000ヒットありがとうです! 拍手ありがとうございます!!

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